2014年12月17日

「北風ぴゅーた」

 12月に入り寒さがとても厳しく感じられます。この寒さが身にしむこの時期になると思い浮かべるのは、重松清の小説「きよしこ」の中の一節の標記の「北風ぴゅーた」の物語です。「きよしこ」とは、この物語の主人公の吃音を持つ少年が讃美歌「きよしこの夜」の歌詞を「きよしこ」の夜と思いこみ、吃音により悲しむ夜に夢の中に出てくる「きよしこ」に出会うことで心を癒すという物語です。
 ところで、「北風ぴゅーた」の物語は、小学6年生のこの少年が卒業を迎える3月の発表会の脚本を担当し、「マッチ売りの少女」になぞらえた脚本を書き、担任に見てもらいます。担任の指示は40名余のクラスの全てを登場させることです。主役級から脇役までを並べ、中には通行人A・B等が出てきます。そして当の少年は「北風」として登場することになっていました。先生はこう言います。「お前は文章を書くのは優れているが、肝心のことが分かっていない。通行人Aとか、Bとかがいるか?名前があるだろう。」と指摘した後でお前の北風にも名前をつけよう、といって、「北風ぴゅーた」と名づけるのです。この場面の意味するところは、子ども達がいるのではない。名前のある一人一人がいること。その一人一人の命を大切にすることが一番だ、との作家重松清のメッセージだと思います。
 この物語は、この後感動の場面を迎えるのですが、ここでは触れないことにします。この小説を含めて作家の重松清は少年の心を描くのは抜群だと思います。今年、私は重松清の小説をたくさん読みましたが、「北風ぴゅーた」は最も印象に残った作品の一つです。
posted by ののはな幼稚園 at 13:43| 日記